ドッグエンド症候群
佐藤由利
とある朝‥。
《昨日未明、女性の変遺体を近所の住民が発見ました。犬を飼っていたことから愛犬がドッグエンド症候群を発症していたとみられ‥‥》
「そんなダメ犬早く捨てればいいのに‥でもマックはそんなことしないよね~、頭もいいし!ね、マック♪」
テレビの電源を消し、目の前にいるパグの頭を撫でる。
彼女の名前は佐藤由利。
18歳の大学生。
一人暮らしをはじめて、早くも1ヶ月が経過する。
パグのマックは由利にとって、寂しい時もいつも一緒の頼もしいパートナーだと思っている。
パグは嬉しそうに尻尾を振りながら由利を見つめていた。
「ふふっ、楽しいね~!」
由利も微笑みながらパグを見つめる。
他人から見ればとても仲がいいように見えるが、パグの体には見えない傷を沢山負っている。
辛いときに近くにいるパグに八つ当たりをしてしまうからだ。
それでもパグは由利に近寄ってくる。
嬉しそうに尻尾を振りながら‥。