ドッグエンド症候群
宮野家
「あははっ!!コッチおいで杏!」
宮野家の一人娘、真朝が元気よく手を叩いて柴犬の杏を呼ぶ。
「ワン!!」
「エヘヘ‥くすぐったいよー‥。」
真朝の頬を柴犬が舐め、嬉しそうに笑う。
「そういえば、近所の渡部さん。今流行っているドッグ何たらで亡くなったらしいな。」
「ドッグエンド症候群よ、アナタ。そうだったの!?最近ぜんぜん見ないからどうしたのかなと思っていたのよ‥。」
娘の嬉しそうな顔を見ながら話し合う両親。
「もしも、杏がそんな病気になってしまったらどうしましょう‥。」
「そんなに心配することはないだろう。杏は流行り始めてから一度も外出していないし、大丈夫だよ。」
そう言って宮野家の父親、賢一郎が母親、葉子の肩をポンと軽く叩いた。
そんな賢一郎に安心したのか、葉子もそうねと言って微笑みながら真朝たちを眺めた。