シュガー*シガレット*シークレット
ここからはじまる
屋上をぐるりと囲む鉄製の手すりは、初夏でもひやりと冷たい。
それに手をかけ、眼下に広がる街並みを見つめながら、思いきり深呼吸をする。
長くて急な坂を上った先に建つこの高校は、屋上からの眺めがすごく綺麗で。私は時間を見つけては、よくこの場所に来ていた。
「………」
学校の制服である、グレーのプリーツスカート。
そのポケットに右手をつっこんで、そこから私は、今朝お父さんの部屋から1本だけくすねてきた“それ”と、安っぽい100円ライターを取り出す。
そうして震える手で、“それ”に火を着けようとしていると。
「──おい、そこの奴。何やってんだ」
「……ッ、」
突然背後から聞こえてきた声に、びくりと体がはねた。
その拍子に、左手の親指と人差し指でつまんでいたものを落としてしまい……慌てて拾おうとするも、ツカツカこちらへ近付いてくる足音に気が付いて、動きを止める。
顔をうつむけて視線を逸らす私のそばに、その人は立ち止まった。
そうしてゆっくりと、その人物は屈んで床に手を伸ばす。
それに手をかけ、眼下に広がる街並みを見つめながら、思いきり深呼吸をする。
長くて急な坂を上った先に建つこの高校は、屋上からの眺めがすごく綺麗で。私は時間を見つけては、よくこの場所に来ていた。
「………」
学校の制服である、グレーのプリーツスカート。
そのポケットに右手をつっこんで、そこから私は、今朝お父さんの部屋から1本だけくすねてきた“それ”と、安っぽい100円ライターを取り出す。
そうして震える手で、“それ”に火を着けようとしていると。
「──おい、そこの奴。何やってんだ」
「……ッ、」
突然背後から聞こえてきた声に、びくりと体がはねた。
その拍子に、左手の親指と人差し指でつまんでいたものを落としてしまい……慌てて拾おうとするも、ツカツカこちらへ近付いてくる足音に気が付いて、動きを止める。
顔をうつむけて視線を逸らす私のそばに、その人は立ち止まった。
そうしてゆっくりと、その人物は屈んで床に手を伸ばす。
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