シュガー*シガレット*シークレット
「南先生、どーする? 私を、生徒指導室につき出す?」



──ああこれで、私の“優等生生活”も終わりだな。

そんなことを思いながら訊ねたそれに、南先生は、何も答えなかった。

代わりに先生は、なんだか考えるような素振りを見せた後。

訝しむ私の前に、すっと、その右手のひらを差し出す。



「ん。穂積、それ寄こせ」

「は、なに……」

「ライター。寄こせって」



言うが早いか、私が握りしめたままだったライターを、先生はこちらの言葉を待たずあっさりと奪った。

何事かと見ていると、彼はためらいもなく、そのライターを使って拾ったタバコに火を着ける。



「えっ、ちょ……っ」

「あ゛ー、肺にしみる~」

「なっ、何すんですかっ、先生!」

「ああ? だって俺も、もとはと言えばここにタバコ吸いに来たんだよ」



そう言って南先生はそれをくわえたまま、自分のズボンのポケットからタバコの箱をちらつかせた。

そんな先生の行動に、私は唖然とするだけ。

……だって今先生がおいしそうに吸ってるタバコは、私が持っていたもので。

だからそれは、間違いなく、学校側が私に罰を与えるために必要になってくるものなのに……こんなのまるで、証拠隠滅、だ。
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