ワインお作りします
「約束は出来ない。」
彼は困った顔をしながら言った。
「でも…。」
彼はゆっくりと私を見た。
「必ず呼ぶよ。」
そう言って笑顔を見せた。
過去になかった約束をした。
指切りの代わりに彼は頬にキスを落とした。
「……何するのよ。」
だから軽いのよ、コイツ。
「いいじゃん。」
そう言いながらまた笑う。
昔からこの顔が好きだった。
「良くない。」
でももう私の友達のモノだから。
私は二人を見ていたかった。
二人の結婚式で踏ん反り返るつもりだったから。
「それじゃ。」
満足するまで話して彼は家路に着いた。
私も帰ろうとした時、また視界が歪んだ。
あ、戻るんだ。
そう思った。
でも、もう、やりたい事は終わっていた。
だから流れに身を任せた。