ワインお作りします


「黄色ですか…。」

店員さんは他の瓶をしまいながらこう言った。

「貴方は未来が気になるんですか?」

「え?」

急に未来と言われてドキッとした。
まるで今の不安を見抜かれた気がする。

「魔法のワインです。貴方は黄色を選んだ…ということは、未来が気になるはずです。未来は変わってしまうので難しいのですが…。確認しに行く事は出来ると思いますよ。」

彼は笑顔でサラッと言った。

………。
やっぱり俺は疲れてる。
仕事のし過ぎでついに白昼夢でもみるようになったんだろう。

いい大人が魔法だの、未来だの。
そもそも、未来なんて行けるはずがない。

「行けるはずがないって思います?皆さん本当に最初はそう思うんですよね。行けますよ、未来。」

そう言いながら店員さんは黄色の瓶に葡萄を入れ始めた。
入れた途端、葡萄は瓶の中をクルクルと回り、赤い液体になっていった。

普通…ワインって時間かかると思うんだけど…本当に魔法か?




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