ワインお作りします
「どうぞ。」
「あ、ありがとうございます。」
店員さんは座った私に暖かい珈琲を出してくれた。
まるで喫茶店みたい。
彼は満足したように笑って、綺麗な瓶を並べ始めた。
「どの瓶がいいですか?」
並べられたのは全部で七つ。
まるで虹みたいだった。
「この青...」
空のように綺麗な青を指して言うと、店員さんはスッとその瓶を手に取った。
「これですね。」
私が頷くと店員さんはまた笑顔を見せた。
「貴女はどこへ戻りたいんですか?」
「え?」
突然の質問。
も、戻る??
「魔法のワインです。貴女は青を選んだ...ということは、戻りたい時間が有りますね。いつですか?教えて下さい。」
戸惑う私に店員さんはそう付け足した。
「何処へでも戻れるんですか?」
戻れるはずがない。
なのに、不思議と戻れる気がするのは店員さんの笑顔のせいなんだろう。
「見るだけですが、出来ますよ。」
彼はまたサラッと答えた。