ワインお作りします

***


「ねぇ?ねぇったら!」

「んぁ??」

呼ばれる声に目を開けると、そこに居るはずのない彼女が居た。

「やっと起きた。」

彼女は起きた俺に溜息をついた。

(夢か…?)

現実ならば、彼女がそもそもこんなに元気なはずがない。
彼女はずっと、今もまだ、目を覚ますこと無く眠って居るのだから。

「今日は一緒に花見に行くっていったじゃない!」

「………。」

そう言えば目を覚ましたら行こうと寝ている彼女に声かけたことがあった。
そうか、あれは聞こえてたんだな。

…と、いうことは。

本当に未来?

彼女は本来ならば、ずっと植物人間のように眠ったままだった。
3年前の事故で命を取り留めたものの、目を覚まさない。
彼女の家族も、俺も、いつ起きるのか解らない彼女を諦められないまま、待ち続けていた。

「ね、どうしたの?私の顔、なんかついてる??」

顔を見たまま黙る俺に彼女は首を傾げた。

「何でもない。」

「それならいいけど…。」

俺の複雑な笑顔に納得しないまま、彼女は答えた。


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