ワインお作りします
次の日。
彼女はもう一度夢に落ちる事はなく、精密検査を受け、結果は良好だった。
俺はというと、検査について回るのを彼女に断られて、仕方なくぶらぶらしていた。
せっかくだから昨日のワイン屋でも探すつもりでウロウロしているのに、その店は見つからなかった。
「確かこの辺だったはず…。」
本当に何処にもない。
不思議な店。
「ま、いいか。」
いつもの道に不意に見つけただけだった。
店を見つけたのも本当に夢かもしれない。
不思議な店員だったしな。
嘘くさかったし。
誰に言っても信じないだろう。
それでもいい。
彼女が目覚めた。
夢でも何でもいい。
それだけで俺はしあわせだった。
未来なんて信じてなかった。
だけど。
しあわせな未来は案外近かった。