ワインお作りします
「後はこれを軽く想いを込めて回して下さい。」
店員さんはスッと瓶を差し出した。
回したくらいでワインなんて…と言う私の予想に反して瓶の中身はさらにワインのように紅い色が深くなった。
もう非科学的でも何でもいいや。
それほど別に科学だって好きじゃない。
「魔法みたい…。」
「魔法です。」
彼は嬉しそうに私から瓶を受け取り蓋をして紙袋に入れた。
「どうぞ。」
「……。」
本当にくれた。
未成年にワインは違法なんですけど?
「大丈夫です。」
店員さんはまた見透かしたように言葉を発する。
「お金は…。」
「要りません。あなたの今ワインに込めた気持ちがお代です。」
「……。」
やっぱり変。
毒でも入って…
「入ってません。」
「……。」
心が読めるんだろうか…。
「一人で飲んで下さい。」
店員さんはニッコリ笑顔で送り出してくれた。