ワインお作りします
家に帰って紙袋から瓶を出す。
とりあえず夢ではなさそう。
軽く挿してある栓を抜いてコップに移すとやっぱり綺麗な紅だった。
(飲んじゃえ…!)
思い切って飲むと世界が回った。
酔わないって言ったのに。
*
「ん…。」
起きたら自分の部屋じゃないところに居た。
見渡す限り独り暮らしの1LDK。
どうやら結局あのまま寝て、夢の中ってとこかな…。
お酒で忘れたかった事もしっかり覚えてる。
そんなに都合よくは行かないのか…。
…にしても…。
夢であって欲しい。
店員さんは『大人になるワイン』と言っていたけど…
未来だとは言ってない。
夢であって欲しい。
目の前のゴミに気付くと缶ビールが3、4…6、7缶。
こんなに一晩で飲んでる独り暮らしの女ってやばくない…?
え、酒に逃げる大人ってこうなるの…?
うんざりしながら缶を拾うとしたから写真が出てきた。
(あ……。)
まさに、今、一番見たくないモノ。
親友と私の好きな先輩が仲良く並んでる。
しかも下には『結婚します』なんて書いてある。
お酒の原因はこれなんだ、と理解する。