ワインお作りします


(変なの…。)

変な理由が知りたくて、放課後また同じ道を通った。
それなのに…。

いくら探しても昨日のワイン屋は無かった。

「絶対ここなのに…。」

携帯にメモも残してないから断言は出来ない。
だけど、本当に何処にもない。

不思議な店。

「絶対見つけてやる…。」

あんまり不思議な事が起こり過ぎた。
それなのに店が消えるなんて非科学的過ぎる。

店員さん嘘くさかったけど。
そもそも高校生に平気でワイン渡すわけだし。

誰に言っても信じないだろう。

絶対ワイン屋を見つけるという事に必死になった私は、気付けば先輩への想いを綺麗に消化していた。
夢の中では、あれだけお酒を飲んでも忘れられなかったのに。

それから。

親友とも仲直り。
先輩からの手紙も今もらって、先輩と話もした。

やっぱり夢と同じで先輩に感謝された。

だけど。
先輩がしあわせならそれでいい。

ワインが魔法かどうかは知らないけど。
大人になる定義も解らないけど。

少しだけ成長した気がした。


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