ワインお作りします
受け取ったまま一人部屋に帰る。
よく考えたらワインを開ける道具なんてない。
瓶を見るとコルクは抜いて挿してあった。
コップに移し口にする。
「うまい。」
酒なんてここ何年も飲んでいない。
もともと酒は飲まない方だったが。
飲んでいると次第に眠くなり、世界が回った。
*
目を覚ますと見慣れた場所。
離婚する前に家族と住んでいた場所だった。
「はよう。」
声の方を振り返ると息子。
「おはようー。」
「眠いー。」
隣の部屋からは娘二人。
「おはよう。」
最後にもう一つの部屋から妻が出てきた。
また…夢なんだろうか。
一人で部屋の解約をしながら寝ていた時。
よく見た家族の夢。
一人で住み始めてキツイ生活をしながら夢見た夢。
見ると起きた時、寂しくなる。
だからもう見たくない夢だった。