ワインお作りします
「何でそんな事聴くの?」
私のその疑問には、笑顔と答えがすぐに返ってきた。
「あなたがもう一度ここへ来たからです。本当なら二度目は絶対見つけられないはずなので…上手く行かなかったのかなって心配したんです。」
「大丈夫。」
「…のようですね。」
私の答えを聞いて安心したように彼は笑った。
「それで。どなたの代わりに来たんですか?」
「え…。」
やっぱり読まれてるのかな?
まだ何も言ってなかったのに。
「お姉さん…ですか?」
「……。」
この人何者なんだろう。
しかも頼まれたわけじゃないのに。
私が勝手に考えてココに来たのに。
「ワイン。お作りします。話してもらえますか?」
私は頷いて単刀直入に話した。
「お姉、好きな人が亡くなったんだって。それで…元気がなくて。」
「……。」
その話をした瞬間。
店員さんの顔が沈んだ。
哀しそうな寂しそうな、そんな顔。
けれどそれは一瞬の事で、次の瞬間には笑顔だった。
「では、この緑にしましょう。」
彼は棚から緑の瓶を取ると葡萄を詰め始めた。