ワインお作りします


「出来れば飲んでもらえると助かります。」

…という事は、忘れ薬みたいなやつかな?
やっぱり私の告白は無視する気なんだ。

「気が向いたらね。」

「気が向かなくてもお願いしたいです。」

彼はまた苦笑した。
きっと飲む気が無いのがバレてるんだろう。

とりあえず。
私はお姉の所に戻った。


          *


「ただいま。お姉ー?」

ガチャ。

部屋の戸を開けるとお姉が居た。
泣き疲れて寝てるだけみたい。

少しだけ安心した。
独りにしておくと、本当は不安だった。

(…でもどうやって飲ませよう…。あ…!!)

寝ている隙に気付かれないように部屋に入る。
お姉のベッドの横にあったペットボトルにそっとワインを混ぜた。

これならきっと起きてから飲むだろう。

不思議とペットボトルの中身の色は変化しなかった。


一仕事終えた私はおとなしく自分の部屋に戻った。


< 48 / 83 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop