ワインお作りします
そもそも。
忘れなきゃいけない理由なんてないと思うんだよね。
たぶん、あのワインを悪用しなければいいんだし。
あの店員さんから悪用する為のワインなんて貰えるわけがないし。
忘れなくていい理由をたくさんつけて、私は小瓶を引き出しの奥に締まった。
次の日。
お姉は少しだけ元気になっていた。
手には見た事がない、指輪。
きっと私の手紙と同じなんだろう。
少し幸せそうだった。
学校の帰り。
もう一度あの店を探した。
願いが叶った後は見つからないはずのお店。
この前だって、お姉の願い事を見つけるまで見つける事は出来なかった。
「うそ………?」
思わず目を疑った。
昨日と同じ場所にお店はある。
本当なら絶対見つからないはずなのに、見間違いでもない。
「どうして…?」
思い当たる願い事もない。
私は恐る恐る、扉に近付いて行った。