ワインお作りします
「アイツなら居ない。」
黒猫はもう一度言葉を発した。
彼女の目は点になる。
「黒猫が喋った…。」
(失礼な奴だ…。)
教えてやってるのに無反応。
まあ、猫が喋るなんて人間にはビックリすることだから仕方がないが。
「お前、アイツにもらった小瓶飲んでないだろう。」
「……。」
また無言。
今度は少し気まずい顔をしている。
全部顔に出るんだな。
アイツとは違って面白い。
アイツは全部笑顔。
隠すのが上手過ぎて最初は大変だった。
「飲まないとお前が困る事になる。」
「困る事…?」
彼女はやっと落ち着いたのか返答をした。
「そうだ。」
「どういう事?」
「説明はしんどい…。」
「……猫のくせに…。」
(…偉そうとでも言いたげだな。)
これだから人間は嫌いだ。
黒猫はまた溜息をついた。