ワインお作りします
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視界が揺れて気付くと、今逢いたい人の家の前に居た。
よく考えたら休みかどうかも解らないのに。
昔、使っていた携帯を取り出して連絡をする。
〈今、うち?〉
付き合って居た頃はこんな送り方した事がなかった。
《うん。》
数秒待つと返事が届く。
〈外に居る。出てきて。〉
その瞬間、部屋のカーテンが開いた。
彼女の眼は大きく見開かれる。
それはそうだよな…。
俺、もう居ないはずだし。
手を振ると彼女は慌ててカーテンを閉めて下に来た。
「どうして…?」
涙を目に溜めている。
やっぱり好きだと思う。
ずっと会いたかった。
哀しい想いをさせたから忘れて欲しかった。
だけど。
心の何処かで覚えておいて欲しかった。
もう逢えないのに。
けれど。
この仕事に就いた。
だから。
逢えた。
もう逢えないはずだったのに。
「最後に逢いに来た。」
俺の言葉は彼女に届いて。
彼女は俺に飛び込んできた。