ワインお作りします
少女の言葉に気持ちが楽になった。
黒猫も否定しない所をみると肯定なんだろう。
ここに居るのは、ずっと、罰だと思っていた。
ずっとずっと、生きるのを諦めた戒めだと思っていた。
「そういう考え方もあるんですね…。」
「幸せになる権利は誰でもあるはずだもの。」
少女は頷きながら付け加えた。
きっと彼女はたくさんの人に愛されて。
人を愛する事、生きてる喜びを知っているんだろう。
「ありがとう。」
久々に何か付き物が落ちた気がした。
「大丈夫そうだな。」
二人の様子を見ていた黒猫が不意に呟いた。
見ると黒猫は嬉しそうな顔をして居た。
「自分のした事を後悔もしてる。人を想う事も想われる事も出来る。お前の役目は、たぶん、次で最後だ。」
急に、黒猫から、違う声がした。
ここに来た時、聴いた声。
「そんな驚いた顔するなよ。そうだよ。俺が案内人だ。時々、ズルをする奴がいるからな…見張り兼なんだよ。」
黒猫はふんっと偉そうに笑う。
「そこのお嬢さんは仕方がないから、お前の役目が終わるまで覚えてるのを許してやる。」
ずっと一人だと思っていた。
だけど違った。
永遠に罰は続くと思っていた。
そうじゃなかった。
「え?じゃ、私、とりあえずアレ飲まなくていいの?」
黒猫の言葉に嬉しそうな少女。
「そういう事だ。コイツに大事な事を教えてくれたからな。その礼だ。」
「ありがとう!」
黒猫は偉そうな顔をする。
御礼を言わなきゃいけないのは俺だと思う。
ココへ来て、初めて心が軽くなった。