ワインお作りします
「あの…どこかでお逢いした事ありますか?」
店員さんを初めて見るはず。
それなのに、見た事がある気がしてならない。
珈琲を淹れる為の機械はたくさんあるのに、出てきたのは紅茶。
珈琲が飲めない事はまだ伝えていない。
どうしてなのか、私は彼を知っている気がする。
「いいえ。ありませんよ。」
店員さんは作ったような笑顔で答えた。
「そうですか…。」
そう言われたら勘違いかもしれない。
私が考えている間に彼は綺麗な瓶を並べていた。
赤や青、まるで虹のような瓶だった。
「綺麗。」
「どれがお好きですか?」
並べ終わった店員さんは楽しそうに、そう私に聞いてきた。
「どの瓶でもいいんですか?」
「はい。」
っと言っても、どれも綺麗。
料理もなかなか決まらなくて、いつも彼に急かされる私が瓶をすぐに決められるはずが無い。
「ゆっくりでいいですよ。」
そう言いながら、なかなか決めれない私を店員さんは楽しそうに見ていた。