四月の魔女へ ~先生と恋に落ちたら~
「いった……。」


立ち上がる気力もなく、私はそのまま仰向けに階段にもたれていた。

階段の上の方には、採光用の窓がある。

そこから見える空があまりにも美しくて見惚れた。


何でこんなことになってしまったんだろう。

ぼうっとした頭で考えた。


高校生って、何にもできない。

親、学校、いろんなものから離れられない私たちは、どこまでも自由じゃなかった。


足音が聞こえた。


「どうした?……おい、小倉!どうしたっ!」


――そんなに焦らなくてもいいのに。


「落ちたのか?」


――見れば分かるでしょ。


「おい、小倉っ!」


夏目が私の名前を呼ぶと同時に、私は気を失った。
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