四月の魔女へ ~先生と恋に落ちたら~

廊下を歩いていると、一番会いたくない人がやってきた。

篠原さんだ。

私は無言ですれ違おうとした。


しかし、彼女は明確な意図を持って私に会いに来たようだった。


「小倉さん、今日の放課後お暇?」


その前に何か言うことがあるだろう、と私は無視して歩き出した。

すると篠原さんがまた腕をつかんでくる。


「痛いっ!」

「あら、ごめんなさいね。」


その時、横を夏目が通った。

明らかに驚いた様子で。

篠原さんも少し焦ったようだった。


「とにかく今日、」

「暇です!どこにいけばいいの。」

「もの分かりがいいじゃない。駅前の喫茶店、いい?」

「分かったから離して。」


篠原さんは手を離した。


私はすぐにも背を向けて走り出したかったが、出来なかった。


篠原さんは夏目に、微笑みながら会釈をした。

夏目は怪訝な顔をしながらも、微笑んでみせる。


私にはあんな不自然な顔しない。


それだけで、少しだけ勝った気分になれた。
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