四月の魔女へ ~先生と恋に落ちたら~
授業の後夏目に呼ばれた。
「小倉。」
私は小声で返事をする。
「なに?」
「お前、篠原さんと何かあったのか。」
「何もないよ。」
「そう。何もないならいいんだけど。」
何を話したところで、今の夏目は私が話すことより、篠原さんの言うことを信じるんだろう。
篠原さんの側に行ってしまった夏目は。
例え私が真実を話しても。
篠原さんが嘘をついているとしても。
「先生。」
「何だ。」
「この前はありがとう。それから……ごめんね。」
「気にしてないよ。」
夏目に突き放されたような気がした。
――いいの。それでいいの、先生。
私を期待させたり、優しくしたり、そばにいたりしちゃいけないの。
本当の優しさと愛は、同時に存在することはできないから。
愛するものを指すベクトルが、違う方向を向いている二人の間に。
「そうだよね。でも、ありがとっ!」
努めて元気に言うと、夏目はほっとしたように少しだけ微笑んだ。
「もういいのか?」
「ん……まだ痛いよ、体中が。」
「そうか。気をつけろよ。」
「うん。」
うなずくと、ちょっぴり胸がうずいた。
「小倉。」
私は小声で返事をする。
「なに?」
「お前、篠原さんと何かあったのか。」
「何もないよ。」
「そう。何もないならいいんだけど。」
何を話したところで、今の夏目は私が話すことより、篠原さんの言うことを信じるんだろう。
篠原さんの側に行ってしまった夏目は。
例え私が真実を話しても。
篠原さんが嘘をついているとしても。
「先生。」
「何だ。」
「この前はありがとう。それから……ごめんね。」
「気にしてないよ。」
夏目に突き放されたような気がした。
――いいの。それでいいの、先生。
私を期待させたり、優しくしたり、そばにいたりしちゃいけないの。
本当の優しさと愛は、同時に存在することはできないから。
愛するものを指すベクトルが、違う方向を向いている二人の間に。
「そうだよね。でも、ありがとっ!」
努めて元気に言うと、夏目はほっとしたように少しだけ微笑んだ。
「もういいのか?」
「ん……まだ痛いよ、体中が。」
「そうか。気をつけろよ。」
「うん。」
うなずくと、ちょっぴり胸がうずいた。