四月の魔女へ ~先生と恋に落ちたら~
その日の1校時は生物だった。
私は誰より早く生物講義室ヘ向かった。
夏目がどんな顔をしているのか知りたかった。
「先生っ!」
教室に走りこむと、白衣を着た夏目が、遠くを見るような目をして黒板にもたれかかっていた。
「先生っ!どうして!誰があんなひどい事を……。先生は何にも悪くないのに。悪くないのにっ!」
大声を出したら思わず涙がこぼれた。
「先生は、」
「もういいよ。」
夏目の顔を霞んだ瞳で見上げる。
彼は靄の向こうから、こちらを見て微笑んでいた。
「俺なら大丈夫だから。しかも……、」
夏目は一瞬辺りを見回した後、私に一歩近づいて手を伸ばした。
親指が目じりの涙を拭う。
「しかも、ここに俺より怒ってくれた人がいるみたいだからね。」
その言葉に温もりを感じた。
夏目を守りたいと思っても、結局いつでも救われてるのは私なんだ。
チャイムが鳴る。
誰も来ない教室。
ざわざわと生徒が走る気配もない廊下。
しばらくして、夏目は観念したように言った。
「ボイコット、か。」
私は誰より早く生物講義室ヘ向かった。
夏目がどんな顔をしているのか知りたかった。
「先生っ!」
教室に走りこむと、白衣を着た夏目が、遠くを見るような目をして黒板にもたれかかっていた。
「先生っ!どうして!誰があんなひどい事を……。先生は何にも悪くないのに。悪くないのにっ!」
大声を出したら思わず涙がこぼれた。
「先生は、」
「もういいよ。」
夏目の顔を霞んだ瞳で見上げる。
彼は靄の向こうから、こちらを見て微笑んでいた。
「俺なら大丈夫だから。しかも……、」
夏目は一瞬辺りを見回した後、私に一歩近づいて手を伸ばした。
親指が目じりの涙を拭う。
「しかも、ここに俺より怒ってくれた人がいるみたいだからね。」
その言葉に温もりを感じた。
夏目を守りたいと思っても、結局いつでも救われてるのは私なんだ。
チャイムが鳴る。
誰も来ない教室。
ざわざわと生徒が走る気配もない廊下。
しばらくして、夏目は観念したように言った。
「ボイコット、か。」