四月の魔女へ ~先生と恋に落ちたら~
夏目に呼ばれて職員室に行く。
私は前の私に戻ることにした。
どんなに悲しくても、何も感じない鉄骨の心で。
職員室に入って、無言で夏目の斜め後ろに立った。
気配を感じて、夏目が振り返る。
「ああ、小倉。」
夏目は視線を落とした。
「話って言うのは、この間のことなんだが。」
「……。」
「あの鍵は……いや、俺の部屋のなんだね。確認したんだった。」
「……。」
「お前、どういうつもりで……。もしかして篠原さんと俺が、」
「聞いてくれないです。先生は。私が何を言っても、信じない。」
「どうしてそんな、」
「分かるんです。」
私は泣きそうになって、夏目に背を向けた。
「小倉、」
「いいの。私は悪者でいいの。でも先生も、幸せになれないよ。ほんとのことに背を向けてばっかりじゃ、幸せになれないよ。」
走って職員室を出る。
こんなこと言うつもりじゃなかった。
後悔の波が私を襲う。
でも、夏目が篠原さんの名前を出した瞬間、私の理性はどこかに行ってしまったのだ。
大好きなはずの夏目が、大好きだからこそ憎らしくて。
どうしようもなく憎らしくて。
でもどこかで、やっぱり好きだから、
篠原さんから守りたくて。
私は前の私に戻ることにした。
どんなに悲しくても、何も感じない鉄骨の心で。
職員室に入って、無言で夏目の斜め後ろに立った。
気配を感じて、夏目が振り返る。
「ああ、小倉。」
夏目は視線を落とした。
「話って言うのは、この間のことなんだが。」
「……。」
「あの鍵は……いや、俺の部屋のなんだね。確認したんだった。」
「……。」
「お前、どういうつもりで……。もしかして篠原さんと俺が、」
「聞いてくれないです。先生は。私が何を言っても、信じない。」
「どうしてそんな、」
「分かるんです。」
私は泣きそうになって、夏目に背を向けた。
「小倉、」
「いいの。私は悪者でいいの。でも先生も、幸せになれないよ。ほんとのことに背を向けてばっかりじゃ、幸せになれないよ。」
走って職員室を出る。
こんなこと言うつもりじゃなかった。
後悔の波が私を襲う。
でも、夏目が篠原さんの名前を出した瞬間、私の理性はどこかに行ってしまったのだ。
大好きなはずの夏目が、大好きだからこそ憎らしくて。
どうしようもなく憎らしくて。
でもどこかで、やっぱり好きだから、
篠原さんから守りたくて。