四月の魔女へ ~先生と恋に落ちたら~
高台から海を見下ろす。海の無い県で生まれた私には、珍しい風景だ。


鮮やかな水色の浅瀬。

所々に浮かぶ珊瑚礁。

浜辺から遠くなるにしたがって、深く濃い紺色に変わっていく。


どこまでも続く海。


私は思い切り深呼吸をした。



私は知っていた。



離れた場所で、同じように海を見下ろすあの人がいることを。

顔を覗き込まなくたって分かっていた。



勇気を出して一歩踏み出す。

私には無かった勇気だ。


いつもいつも自分を守るための嘘ばっかりで、本当の気持ちを伝えなかった。


そんな自分とはもうお別れだ。



自由になるんだ――――
< 134 / 182 >

この作品をシェア

pagetop