四月の魔女へ ~先生と恋に落ちたら~
第2章 傾く心

憂鬱

今日は雨。

雨の日は特別憂鬱になる。

あの日、携帯電話を取り落した時の乾いた音。

遠ざかっていく雨の音……。


「おはよ、詩織!」

「あ……智、おはよ。」

「どうかしたの、詩織。」


智はいつになく真剣な表情で私を見つめた。


「何でもない。ちょっと考え事してただけ。」

「そう?悩みがあるなら相談してよ。私は詩織の友達なんだから。」

「ん。ありがと!」


いつもと同じ笑顔を向けると、智は安心したように笑った。


「じゃあ私も相談していい?」

「いいよ。なあに。」

「私さあ、夏目先生のこと、好きになっちゃたかも。」



その言葉を聞いて、私の中の何かが跳ねるように動いた。
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