四月の魔女へ ~先生と恋に落ちたら~
「じゃあ、私の話するね。どこから話したらいいか、分からないけど。」

「どこからでもいいよ。でも、すべて話してほしいんだ。君が、自分を、解き放つために。」

「うん……じゃあ、あの日のことを話すね。」


私は目を閉じて、一番思い出したくないあの日を心に描いた。

いつも開くことのない心の扉を、そっと開く。

そこは、あの日から少しも変わることなく、じめじめと悲しかった。


「あの日……、」


そう、あの日。

正確にいうとあの前の日、私は母と喧嘩した。


取り返しのつかない、喧嘩をしたんだ―――――
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