四月の魔女へ ~先生と恋に落ちたら~
夏目先生のこと、好きになっちゃったかも――


智の言葉が胸にこだましていた。


「それでねー、この間、」


智が話していることが全然耳に入ってこない。

どうしたんだろう、私。


「ちょっと、聞いてるー?詩織ー。」

「聞いてるよ、それで、」

「だからー、夏目先生って好きな人がいるんだって。」

「そうなんだ……。」

「でもさ、それってまだ結婚してないってことで、それならまだ望みはあるよね。ねっ。」


智は助けを求めるような顔で私を見つる。


「う、うん。」

「なんか今日の詩織、詩織じゃないみたい。」

「ごめん。」

「私、頑張るから。詩織も応援してよね!」


もちろんだよ、と返そうとして声がかすれた。


なんだか智が一回り大きくなったような気がした。
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