四月の魔女へ ~先生と恋に落ちたら~
あの後、どこからくるのか分からないほどの、母親への反発に耐えかねて、私はリビングを飛び出した。
そして、自分の部屋にこもり、布団の中に潜って体を震わせていた。
その夜は一睡もできなかった。
母とこんなに大きな喧嘩をしたのは、最初で最後だった。
いつも本当に仲が良くて、反抗期なんてありえなかった。
母はいつも、おおらかに私を見守ってくれていたから。
私があんなことを言い出しさえしなければ。
次の朝、リビングにはいつもと同じように朝食が用意してあった。
いつもと同じように、バランスのとれた和食。
お味噌汁のいい香りが、リビングを覆っていた。
「あら、おはよう。詩織。」
そしていつもと同じように母が言った。
なかったことにしようと、母が努力しているのは目に見えて分かった。
あの時、本当はお味噌汁の香りにつられて、私は歩みだしていたのだ。
しかし、私の中の何かがそれを止めた。
そして、半ば泣き叫ぶようにして言った。
「そうやってお母さんは、いつもごまかしてきたんでしょう!お母さんがそんなんだから、幸せな家庭を築けなかったんだよ!」
母の動きが止まる。
はり付いたような笑顔が、すっと冷えて固まった。
「今日会いに行ってくる。」
私は朝食に手を付けずに、家を飛び出した。
まさかそれが、私の食べられる最後の母の手料理だとは知らずに。
そして、自分の部屋にこもり、布団の中に潜って体を震わせていた。
その夜は一睡もできなかった。
母とこんなに大きな喧嘩をしたのは、最初で最後だった。
いつも本当に仲が良くて、反抗期なんてありえなかった。
母はいつも、おおらかに私を見守ってくれていたから。
私があんなことを言い出しさえしなければ。
次の朝、リビングにはいつもと同じように朝食が用意してあった。
いつもと同じように、バランスのとれた和食。
お味噌汁のいい香りが、リビングを覆っていた。
「あら、おはよう。詩織。」
そしていつもと同じように母が言った。
なかったことにしようと、母が努力しているのは目に見えて分かった。
あの時、本当はお味噌汁の香りにつられて、私は歩みだしていたのだ。
しかし、私の中の何かがそれを止めた。
そして、半ば泣き叫ぶようにして言った。
「そうやってお母さんは、いつもごまかしてきたんでしょう!お母さんがそんなんだから、幸せな家庭を築けなかったんだよ!」
母の動きが止まる。
はり付いたような笑顔が、すっと冷えて固まった。
「今日会いに行ってくる。」
私は朝食に手を付けずに、家を飛び出した。
まさかそれが、私の食べられる最後の母の手料理だとは知らずに。