四月の魔女へ ~先生と恋に落ちたら~
書き終わると、辺りはすでにかなり明るくなっていた。

便箋を小さく畳む。

そして、もう一度そうっと布団に潜りこんだ。


早く会いたいと思えば思うほど、私のなかで夏目の存在は大きくなっていく。

こんなに苦しいけれど、でも。


私は夏目に会えたことを、後悔なんてしてないよ。

世界で二人だけ私のすべてを知っている人。

それは、お母さんと夏目。

すべてを受け入れて、その上で私を愛する覚悟を決めてくれた。


だから夏目には、一度でいいから聞いておきたかったんだ。


私と出会って後悔していないのか。


その答えを聞くのは、何よりも怖かった。

そしてその返事次第で、私がどうするべきかが決まると思っていた。


そう、それは私の覚悟だったのだ。
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