四月の魔女へ ~先生と恋に落ちたら~
読みながら涙が止まらなかった。

どうして夏目が私の罪をかぶらなくてはならないんだ……。


悔しかった。

運命を恨んだ。

あの時、こうしていれば、という後悔が押し寄せてくる。


夏目が私と死ぬ覚悟でいたなんて、知らなかった。

でも、本当はそれでも良かったよ、先生。

だってどうせ、私は両親を殺した悪魔だから。

先生とどこまでも一緒に逃げられるなら、それでも良かった。


でも、愛されているのに、こんなに愛されているのに、ふられたんだ、私。

そう、結局夏目と私は、どこまで行っても交わることのない平行線のようなものだったんだね。

ほとんど同化してしまうような近くを走りながら、決して交わることのない線。


夏目はもう二度と、帰ってこない決意だろう。

その証拠に、母のハンカチが置いてあるのだ。

もう返せないから。

もう私に渡せなくなってしまうから。


「ごめんね、先生。でも私、こんな約束できないよ。」


夏目の部屋を出て、まず自分の家に向かった。


父がもう発見されたかどうかを、確かめるために―――
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