四月の魔女へ ~先生と恋に落ちたら~
いつの間にか同じ道をぐるぐる回って、学校に戻ってきてしまっていた。
何やってんだろ、私。
雨は強くなるばかりで、傘をさしていても私はびしょ濡れだった。
「くしゅん。」
また風邪を引いてしまう。
時計を見ると、もう8時を過ぎていた。
その時、後ろから誰かの足音が聞こえてきた。
私は怖くなって速足で歩く。
しかし、足音はどんどん近づいてくる。
鼓動が速くなる。
「おい。」
降りかかってきた声は聞き覚えのある声で、私ははっと立ち止まった。
「どこの女子生徒がほっつき歩いてると思ったら、うちの学校の生徒じゃないか。」
「夏目先生、」
「お前、……小倉、か?」
安心したのと、悲しみと切なさと、様々な感情が入り混じって、ぶわっと涙が出てくる。
「……小倉。」
驚いたような声で、先生がつぶやいた。
私は、この状況を夏目にどう説明したらいいか、困った。
そして、結局口を噤んで、うつむくしかなかったんだ。
「帰るか。」
そう言った時見せた夏目の表情は、見たこともないほど優しかった。
張りつめた糸が切れたみたいに、再び私の目から涙が零れ落ちた。
「先生、私、」
「何も言わなくていい。」
先生は、着ていた上着を脱ぐと、乱暴に私に掛けた。
「ほら、こんなに濡れて。ばかだなあ、おまえは。」
先生の上着は、温かくて。
それに、やっぱり何か、懐かしい香りがする気がした―――
何やってんだろ、私。
雨は強くなるばかりで、傘をさしていても私はびしょ濡れだった。
「くしゅん。」
また風邪を引いてしまう。
時計を見ると、もう8時を過ぎていた。
その時、後ろから誰かの足音が聞こえてきた。
私は怖くなって速足で歩く。
しかし、足音はどんどん近づいてくる。
鼓動が速くなる。
「おい。」
降りかかってきた声は聞き覚えのある声で、私ははっと立ち止まった。
「どこの女子生徒がほっつき歩いてると思ったら、うちの学校の生徒じゃないか。」
「夏目先生、」
「お前、……小倉、か?」
安心したのと、悲しみと切なさと、様々な感情が入り混じって、ぶわっと涙が出てくる。
「……小倉。」
驚いたような声で、先生がつぶやいた。
私は、この状況を夏目にどう説明したらいいか、困った。
そして、結局口を噤んで、うつむくしかなかったんだ。
「帰るか。」
そう言った時見せた夏目の表情は、見たこともないほど優しかった。
張りつめた糸が切れたみたいに、再び私の目から涙が零れ落ちた。
「先生、私、」
「何も言わなくていい。」
先生は、着ていた上着を脱ぐと、乱暴に私に掛けた。
「ほら、こんなに濡れて。ばかだなあ、おまえは。」
先生の上着は、温かくて。
それに、やっぱり何か、懐かしい香りがする気がした―――