四月の魔女へ ~先生と恋に落ちたら~
結局その日の下校時間までに下書きは終わらなかった。

私の学校は規則が厳しい。

特に学園祭期間中はクラスに有利、不利があってはいけないので、下校時間を守ることは鉄則である。

学園祭は、体育部門と文化部門の合計得点によってクラス順位が決まる。

しかし、準備期間中に下校時間を守らないなどの違反があると、マイナス点が加算されてしまう。


だから、違反をするとクラスの士気を大いに下げることになるし、なによりクラスメイトの視線が痛い。


「小倉、出来たか?」

「いいえ、まだです。でも終わらせたい!」


いつになく真剣な私を、夏目は心なしか嬉しそうな顔で見つめた。


「ほら、もう下校時間まで5分だぞ。急がないとまずいだろ。」

「もう少し……」


教室にはもう一人も生徒がいなかった。


「あと3分。」


静かな教室に夏目の声が響く。


「タイムオーバーだ。」


校舎内に下校のチャイムが鳴り響いた。

生徒会の生徒がしばらく門の前に立って、違反を取り締まる。

同時に、校内を歩き回って残っている生徒がいないか見て回る。

明日の朝はみんなに謝ることから始めないと、と私は観念した。


「小倉、ほらその紙持って、いくぞ。」

「え?」

「早くしないと捕まる。」


夏目は私をかばうように立って、歩き始めた。
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