四月の魔女へ ~先生と恋に落ちたら~
クラス旗の発表が終わって、なんだか気が抜けてしまった。

私は部活に入ってないし、体育祭は三日目だし……。


「詩織、ほんとすごいよー!」

「ありがとっ!」


智に私は初めてほんとの笑顔を見せたかもしれない。

でも、譲れないことだってある。

廊下の角を曲がる白衣に、お喋りに夢中の智は気づいていなかった。


「智、私ちょっと後輩に用事だから行くね。」

「えー、詩織と一緒にまわりたかったのに。」

「ごめん!明日。明日は絶対一緒に回ろ!」


まだ頬を膨らませている智を置いて、私は駆け出した。


夏目にどうしてもほめてもらいたかった。
あの放課後の夏目に、もう一度戻ってきてほしかった。

廊下の角を曲がると、逆に驚くくらいすぐ、夏目を見つけた。

夏目は、廊下の窓を開け放して、空を見ていた。


「夏目先生!」


笑顔で振り返ってくれると思った。

小倉、だから言っただろ、おまえは器用だって。

嬉しそうに言ってくれると、思ってた……。
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