四月の魔女へ ~先生と恋に落ちたら~
「先生、金曜日、ごめんね。」
「ああ……。」
夏目は苦笑いしながら言った。
「最悪のタイミングだったな。だから言っただろ、まずいって。」
「そうだね。ごめんなさい。もうわがまま言わないように努力する。」
「わがまま言わないって、言い切れないんだな?」
そう言って、夏目は耐えかねたように笑い出した。
私はそんな様子の夏目に安心した。
「俺、完全に怪しいやつだと思われたなー。」
「お父さん、思い込みが激しいみたいで。」
「今まで一緒じゃなかった分を、取り返したいんだよ、お父さんは。この分じゃ、小倉はお嫁にいけないなぁ。」
「そんなぁ。困るよ!私先生の、」
またいいところでノックの音。
この部屋に来る人なんて、限られている。
「はい。」
夏目の顔がよそ行きになる。
「夏目先生、五校時の実験ですけど……あ、生徒がいるとちょっと。悪いけど小倉さん、外してもらえる?」
「……。」
「ああ、じゃあ小倉、ありがとな。」
「……。」
仕方なく扉を開けて出ていく。
仕事を持ち出すのはずるい。
反則だ。
イエローカード一枚。
――私先生のお嫁さんになるのに。
行き場を失った言葉が、胸につかえて苦しかった。
夏目にはバカって言って笑い飛ばされると思う。
それでもよかったのに。
篠原さんと私の、静かな闘いに、先生は気付いていなかったんだね。
気付いていれば、あんなに悲しいことにはならなかったかもしれないのに―――
「ああ……。」
夏目は苦笑いしながら言った。
「最悪のタイミングだったな。だから言っただろ、まずいって。」
「そうだね。ごめんなさい。もうわがまま言わないように努力する。」
「わがまま言わないって、言い切れないんだな?」
そう言って、夏目は耐えかねたように笑い出した。
私はそんな様子の夏目に安心した。
「俺、完全に怪しいやつだと思われたなー。」
「お父さん、思い込みが激しいみたいで。」
「今まで一緒じゃなかった分を、取り返したいんだよ、お父さんは。この分じゃ、小倉はお嫁にいけないなぁ。」
「そんなぁ。困るよ!私先生の、」
またいいところでノックの音。
この部屋に来る人なんて、限られている。
「はい。」
夏目の顔がよそ行きになる。
「夏目先生、五校時の実験ですけど……あ、生徒がいるとちょっと。悪いけど小倉さん、外してもらえる?」
「……。」
「ああ、じゃあ小倉、ありがとな。」
「……。」
仕方なく扉を開けて出ていく。
仕事を持ち出すのはずるい。
反則だ。
イエローカード一枚。
――私先生のお嫁さんになるのに。
行き場を失った言葉が、胸につかえて苦しかった。
夏目にはバカって言って笑い飛ばされると思う。
それでもよかったのに。
篠原さんと私の、静かな闘いに、先生は気付いていなかったんだね。
気付いていれば、あんなに悲しいことにはならなかったかもしれないのに―――