四月の魔女へ ~先生と恋に落ちたら~
「詩織、今週の日曜日空いてるか?」


父に電話で突然問われたのは、金曜日の朝だった。


「空いてるよ。どうして?」

「詩織に会わせたい人がいるんだ。服はお父さんが準備するから、お前は考えなくていいぞ。」


父の声はなんだか嬉しそうだ。

私の胸を、嫌な予感がかすめた。


「うん……。だれ?」

「秘密だ。お前もきっと気に入ると思うよ。」


気に入る?

どういうことだろう。


父に聞こうとして、もう家を出る時間だったことに気付いた。

仕方なく、電話を切る。


私を救ってくれた父だが、その見返りに私は何を求められているのだろう。


有無を言わせない父のまなざしが、受話器の向こうから突き刺さってくるようで、私は恐怖していた。
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