四月の魔女へ ~先生と恋に落ちたら~
日曜日。

突然、父がやってきた。


「詩織、これを着て。」


見ると、それは見るからに高級そうな、ドレス風のワンピースだった。


「こんなの私、」

「いいから。」


半ば無理やり着せられて鏡を覗くと、いつもとは全く違う自分がいた。


「似合うよ、詩織。やっぱりお前は、お母さんに似て美しい。少しお化粧もした方がいいな。」


言われるままにいつもつけない口紅をつける。


「どこに行くの。」

「まあ、行けばわかるさ。」


父の言葉は、それ以上追及させない強さを持っていた。

もしもあのとき、もう一度確かめていたら、私の運命は変わっていたかもしれない。


いつもの車に乗って家を出る。

何度乗っても慣れない高級車。


私はもう二度と帰っては来られない気がして、シートベルトをぎゅっと握りしめた。
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