四月の魔女へ ~先生と恋に落ちたら~
インターホンを鳴らすと、夏目がドアを開けた。


「はい。って……小倉……。」

「せんせっ!お邪魔しまーす。」


面食らう夏目を押しのけて、夏目の部屋に入る。

ここに来るのは3回目だ。

いつだって歓迎されてるわけじゃないのだけれど。


上り込んだ上に、早速台所に向かった私を、夏目はあっけにとられたような表情で追いかける。


「おま、」

「日曜日の先生なんて、どうせちゃんとしたもの食べてないんでしょ。作ってあげるよ!」


夏目は、じっと私の顔を見つめた。


「なんでお前、今日は化粧なんかして、」

「先生、オムライスなんかどう?」

「小倉、何かあったんだろ。」

「おっ、ちょうど卵発見!オムライスできるよー。」


私は夏目の言葉を無視し続けた。

化粧も綺麗な洋服も、向き合わなきゃならないことも、すべて捨て去りたくて。


「言いたくなければ言わなくていい。小倉が俺のところに来るのは、なんかあった時って決まってるからね。」


諦めたように夏目が言う。

私はそんな夏目に、束の間の安らぎを覚えるのだ。


「オムライス……食べる?」

「ああ。よろしく。」


夏目は困ったように微笑むと、私のわがままをすんなり許してくれた。
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