二年越しのバレンタイン
「ゆかり、おはよ」
自分の席に座り、物思いにふけっていると親友の河野麻耶が声をかけてきた。
麻耶は背中まであるミルキーベージュの長い髪にくりっとした目の小柄で可愛らしい子。
性格は見た目と違いサバサバしてる。
反対に私は168センチの黒髪ショートヘア。
麻耶と並んで歩いていると男女のカップルと間違えられることもあったりして。
まぁ、それはどうでもいいんだけど。
「おはよ」
「何よ~、今日はテンション低いんじゃないの?」
「ん、ちょっと寝不足なだけ」
誤魔化すようにそう言って机に突っ伏したんだけど。
「あぁ、なるほど。今日はバレンタインデーだからか」
麻耶が教室を見回し、納得したように言う。
「それは関係ない」
「嘘つき、去年だってこの日はため息ばかりついてたよ」
「……」
図星をつかれ、思わず押し黙ってしまった。
「あれから二年経つのか……」
隣の席に座った麻耶の呟く声が聞こえた。