君のそばにいるだけで。
二人の想い

出会い


 あたしは、あの日以来恋をする事をやめた。

別に、男に悲しい思い出があるとか、そんなんじゃない。

 ただ、男に呆れただけ。


今まで男を見てきて、男というのは、女に縋り付いて生きていく生き物としか思えていなかった。

君に逢うまでは。

高1の夏。

あたしはいつものように、親友の希姫とはしゃいでいた。

「やっぱ、夏は暑いねー。」
と、希姫がシャツで仰ぎながらつぶやいた。

「そうだねー。コンビニでも行って涼もうか?」
とあたしは訊いた。

「いいね!んじゃ、優愛行こ!」

「オッケー!アイスでも買う?」

希姫とは、保育園からの親友で、結構気が合う。

 コンビニの前に着くと、即効ダッシュで希姫が店内に入っていった。

「ちょっ、早すぎ!」

あたしは、希姫の後を追いかけた。

すると、

ドン!

誰かとぶつかってしまった。

「優愛、大丈夫!?」

と希姫が心配そうに覗き込む。

「イタタ・・・うん、大丈夫だよ。」

と、ぶつけた鼻をさすりながら言った。

「あの、すんません。」

と声がした。振り向くと、背の高い男の人が二人立っていた。

一人は黒髪で真っ黒の瞳をしていた。もう一人は、茶髪で少しチャラそうにも見える。

「あ、大丈夫です。」

と答えた。

「なら良かった、じゃあね。」

と黒髪の人が答え、茶髪の人とコンビニから出て行った。

 すると、希姫が

「ねぇ!茶髪の人カッコよくなかった!?」

と目を輝かせながら訊いてきた。

「ん~そうかなぁ?」

男に何も感情が湧かないあたしは、何とも思わなかった。

それを聞いた希姫は、

「カッコいいって!やばい、あたし一目惚れしたかも!」
と希姫は一人ではしゃいでいた。


< 1 / 7 >

この作品をシェア

pagetop