私のお人形
次の日も急いで家に帰ってきた。

まっさきにセーラの無事を確認し、ランドセルを置く。

「よかった、悪者はこなかったのね」

するとセーラが返事をした。

「誰もこなかったよ」

そうだった。

セーラは簡単な会話ならできるんだった。

すっかり忘れていたわ。

「ねえ、セーラ。昨日私が寝ている間に誰か来たの?」

ちょっと難しい会話かな。

答えられないかも。

そうあきらめかけた時、セーラが言葉を発した。

「来たよ」

心臓がドクドクいっていた。

簡単な会話だけって書いてあったけど、案外何でも話せるのかもしれない。

「誰なの? 昨日うちに来たのは誰なの?」
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