私のお人形
まだチャックは私に気がついていないみたい。

私はドアをそっと閉め、ママが眠るベッドの下にもぐりこんだ。

ここにいれば見つからないかもしれない。

そう考えたからだ。




耳をすましていたが、しばらく何も音は聞こえなかった。




けれど――。


なにかがぶつかり合う音がした。

その音は激しく、何度も何度も繰り返される。

そして、最後にドシンと床に物が落下する音が聞こえた。




私は怖くて怖くてベッドの下で体を震わせるしかなかった。

おびえる子猫のように体を丸めたまま。

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