私のお人形
「あれ、その人形どうしたの?」

先生はセーラを見ていた。

ママに直してもらっていたものの、ちょっと古びてしまったセーラを見せるのもなんだかしのびなくて、私はもじもじする。

「ユリちゃんの大切なお人形なのね」

先生の言葉に黙ってうなずいた。

「ちょっと貸してもらってもいい?」

NOとはいえない雰囲気。

私は素直に人形を差し出した。

そして先生の様子をじっと見ていた。

先生はセーラを手に取り、セーラの一度えぐれてしまった目元など穴が開くほどしげしげと観察する。

先生は何か言いたそうな顔をしていたので、私が黙っていられなかった。

「チャックにやられたんです」

「チャックって?」

先生の目が輝く。
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