私のお人形
しばらくすると、またもとの生活が始まった。

ママが家にいないのは少し寂しいけど、お金がないのも困る。

だから、正直ほっとしていた。



その日も宿題をして、おやつを食べて、いつものように一人で家にいた。

外は雨が降っていた。

未だ4時だというのにすっかり暗くなってしまっていた。

図書室から借りた本を読んでいると、コツコツと窓を叩く音がした。

ベランダになんか誰かがいるわけもないし、雨が吹き付けているのかもしれないと、さほど気にしてはいなかった。

――が、しばらくすると、またコツコツという音がする。
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