私のお人形
「そんなことあるわけないじゃんね」

カーテンを閉めながら、そうつぶやくと――。

「そんなことあるよ」

「え?」

何、今の?

空耳?

「私だよ。私。忘れないでよ」

セーラだった。

セーラが私に話しかけているのだ。

「嘘…」

歯ががちがちと音を立てていた。

だって、だって…。

「私たち親友でしょ」

「だって、まだ電池入れてないのに…」

ママに買ってもらった乾電池は引き出しの中にしまったままになっていた。
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