私のお人形
セーラは立ち上がっていた。

そしてゆっくりと私のほうに近づいてくる。

「なんで? なんで? あ…!」

私は足をとられ、しりもちをついてしまった。

早く立ち上がらなきゃ。

そう思っているのに体が言うことをきかない。

私はその状態のまま、あとずさりするしかなかった。

そんな状況のなか、セーラは金髪の髪を振り乱しながら私のそばへとやってきていた。

「なんで? 人形が生きていないただのおもちゃだと思ったら大間違いよ。人形は生きているの。ね、私みたいに。わかるでしょ」

セーラは笑っている。

口を裂けるほど開き、歯をむき出しにして。

「やだ、やだ…来ないで!」

じわりじわりと二人の距離が縮んでいくに従って、恐怖が高まっていく。

「そんなこと言わないでよ。私たち親友じゃない」



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