私のお人形
私はセーラと二人車のリアシートに座っていた。

ママに言われたとおりロックをしたまま。



「案外人間の生活も不便なもんね」

セーラがつぶやく。

「こういうの、想定外って言うんだって」


ここ、本当にいつも通っている国道なんだろうか。

街灯もほとんどないし、車も一台も通らない。

まだ夜の8時なのに…。

携帯を使えないとこんなに不便なのね。

普段じゃ絶対気づかない。



「ねえ、チャックに憑いてるのって悪魔なの?」


私は思い切って聞いてみた。

倉庫の奥のほうに封印されていたなんて…。

しかもそれを解いて出て来るなんて…。


「悪魔か…。確かに人間にとっては悪魔かもね」

セーラはふっと笑う。

「違うの?」

「視点によって、悪魔にもなるし天使にもなるのよ。大体人間は自分に都合悪いものは悪魔とか悪者にして切り捨てる傾向があるからね。でも、人間以外のものにとっては悪魔じゃない。人間の方が悪魔なんじゃないの」
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