私のお人形
セーラは怒ったような顔をしていた。

「昔はまだよかったさ。私たちは人形のふりをしていればそれですんだから。でも、今は…」

「今は?」

「ロボットにしようとしてるだろ。人間の都合のよい。そしたらあたしたちの魂はどこにいったらいいんだい?」

セーラの声は低く、少し震えていて、途切れがちに思えた。

「じゃあ、チャックもそう思っているの? それで人間に復讐しようとしてるの?」

「さあね、あいつの気持ちはわからないけど」

「でもさ、そんないやな人間の私をセーラはどうして守ってくれるの?」

「……」

セーラは答えなかった。

それっきり人形のふりをする。



ママ、早く戻ってきて。

お願い、早く。



私は不安で仕方なかった。
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