私のお人形
「…リ、ユリちゃん」

「あ…ママ」

ママがスーツ姿の格好で私の顔をのぞきこんでいた。

「眠っちゃったのね」

ママは上着を脱ぎながら、寝室の方に向かう。

しかしその足が、止まった。

「ユリちゃん…ど、どうしたの?」

ママの声が震えていた。

「何?」

目をこすりながら体を起こし、ママの方を向く。

ママは食卓の椅子のほうを向いたまま、青ざめていた。
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